事業主のための就業規則 試用期間編

従業員を採用したら、必ず「試用期間」を定めるようにしましょう。「試用期間」とは、従業員がその事業所の正社員として適性であるかどうか見極めるための期間ですので、もし、試用期間中に期待していた能力と全然違っていたとか、健康上問題があって仕事に支障があるなど何か問題が発生した時に、「試用期間満了により退職」してもらい易くするために、必ず設けるようしましょう。
ただ、試用期間満了で退職して頂くためには、以下の点に気をつけましょう。
1.採用時に、試用期間の契約書を作成し、内容をよく説明しましょう。その時に、どのような場合に正社員になれないか、よく説明しておきましょう。そして、その契約書の内容に同意したという署名を記入してもらいましょう。
2.試用期間は3カ月から6カ月が一般的です。(あまり長いといつまでも従業員の不安定な状態が続きますので、公序良俗に反します。)
3.最初の試用期間で判断できない場合がありますので、試用期間が延長できる仕組みがあるほうがいいです。
4.試用期間とはいえ、採用後14日を経過すれば、解雇予告や解雇手当は必要になってきますので、14日以内に早く決断するか、試用期間満了日の30日前には正社員になれないことを伝えるようにしましょう。
以上のようなことを参考にした就業規則の例は以下の通りです。
(試用期間)
新たに採用した者については、原則として採用日から3カ月間を試用期間とする。
2.試用期間中に本採用とすることの判断ができないときは、前項の期間を最長3カ月間延長することがある。
3.本採用の可否は、試用期間中の勤務態度、健康状態、能力等を総合的に勘案し、試用期間の満了日までに決定し、通知する。
4.試用期間中の者が、次の各号のいずれかに該当した場合、試用期間中もしくは試用期間満了時に本採用せずに解雇する。ただし、採用後14日暦日を経過していない場合は、解雇予告手当を支払わずに解雇する。
①遅刻、早退、欠勤が複数回あり、出勤状況が不良である
②上司の指示に従わない、同僚との協調性がない、誠実に勤務する姿勢がないなど勤務態度が不良である
③必要な指導をしたものの、当社の求める能力に達せず、改善の見込みがない
④入社前に会社に申告した経歴に偽りがあった
⑤督促しても必要書類を提出しない
⑥健康状態が悪く、今後の業務に耐えられない
⑦第○条に定める解雇事由、または懲戒解雇事由に該当する
5.試用期間は勤続年数に通算する。
最後に余談ですが、試用期間中であっても、雇用保険、健康保険、厚生年金保険は加入しなければいけませんので、ご注意ください。
「試用期間中の契約書」、「就業規則」の様式については当事務所にご相談ください。