2024年4月から労働条件明示のルールが変わります。

労働契約の締結、更新のタイミングで明示すべき事項が以下の通り追加されます。

1.すべての労働契約の締結時と有期雇用契約の更新時

 ・就業場所・業務の変更の範囲

 変更の範囲とは、今後の見込みも含め、その労働契約の期間中における就業場所や従事する業務の範囲のことをいいます。

2.有期労働契約の締結時と更新時

 ・更新の上限の有無と内容

 有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限の有無と内容を明示します。

更新する場合の基準は、「勤務成績、態度、能力、会社の経営状況」など具体的に記載することが望ましいです。

 

 ・更新上限の新設・短縮の説明

 最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明することが必要になります。

 

3.無期転換申し込み権*が発生する契約の更新時

 

 ・無期転換申し込み機会

 無期転換申し込み権が発生する更新のタイミングごとに無期転換を申し込むことができる旨の明示が必要になります。

 

 ・無期転換後の労働条件

 無期転換後の賃金等の労働条件を明示する必要があります。無期転換後の賃金等の労働条件を決定するにあたって、他の通常の労働者とのバランスを考慮した事項(業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)について、有期契約労働者に説明するようと努めなければいけません。

 

 *無期転換申し込み権とは、同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えるときは、労働者が期間の定めのない無期労働契約を申し込むことができる権利のことです。

 

 

 

令和5年4月1日から、中小企業の場合1カ月の残業時間が60時間を超えると、割増率が25%から50%になります。それに伴って1か月60時間を超える残業時間を深夜(22時から5時)の時間帯に行わせると、深夜割増の25%と残業割増の50%が加算され75%割増の残業手当を支払わなければいけません。

ただし、1カ月の残業時間の算定には、法定休日(1週間に1日又は4週間に4日の休日)に行った労働時間は含まれませんので、法定休日労働の割増率は35%で変わりません。そのため、法定休日に深夜労働をした場合も以前と同じ割増率の60%です。

例)兵庫県の事業所で働く人 時間給1000円の場合

  1日8時間を超えると25%割増 時間給1250円

  1か月60時間を超える残業について 時間給1500円

  1か月60時間を超える残業が深夜帯の場合 時間給1750円

  法定休日の深夜に残業した場合   時間給1600円

割増率が変更しますので、それに合わせて賃金規程の変更が必要になる場合があります。割増率を25%としている事業所は以下を参考に賃金規程の変更をして下さい。

(時間外労働の割増賃金)

第〇条 法定労働時間を超えて時間外労働(法定休日以外の所定休日も含む)をした場合、次の割増率に基づき事項の計算方法により残業手当を支給する。

 (1)1か月の時間外労働の時間数に応じた割増率は次のとおりとする。この場合の1カ月は毎月1日を起算日とす

   る。

  ①時間外労働60時間以下 25% 

  ②時間外労働60時間超  50%

  (以下、略) 

                           (厚生労働省パンフレット参照)

 

 

65歳未満の在職老齢年金の計算方法が変わります

2022-08-05

 令和4年4月から65歳未満の人の在職老齢年金の支給額を計算する方法が変わります。以前は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円以下の場合に年金の支給停止はありませんでしたが、今後は基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円以下の場合に年金の支給停止はないようになりました。それによって、今までのように「年金が停止されるから給料を低く抑えて働く」というようにしなくてもよくなりました。

 基本月額とは、加給年金を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額のことです。老齢基礎年金は含まれませんので、年金通知書等の老齢厚生(退職共済)年金の金額の1カ月分のことです。

 総報酬月額相当額とは、以下のことです。

(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12)

例)8月標準報酬月額 200千

  前年9月から今年8月までの賞与 12月 25万円、7月 20万円

  総報酬月額相当額 20万円+(25万+20万)÷12=237500円

  老齢厚生年金の月額10万円の場合

  10万円+237500円=332500円<47万円 年金支給停止なし

 上記老齢厚生年金の月額で留意することとして、厚生年金基金に加入した期間がある場合は、厚生年金基金から支払われる代行部分の金額も含めて計算することになりますのでご注意ください。

 在職老齢年金を受けている65歳以上70歳未満の人が、9月1日に厚生年金に加入しているときは、翌月の10月分の年金額が見直しされます。年金額が見直された結果、支給停止になったり支給停止額が変更されたりする可能性があります。

 また、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている70歳未満の人が退職して1カ月経過した場合、退職した翌月分から年金額は見直されます。そして、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている人が70歳になった場合も、70歳になった月の翌月分から年金額が見直されます。

 70歳以降も厚生年金の適用事業所で勤務している場合は、引き続き在職老齢年金の計算方法と同じ計算式で計算されるため、支給停止される可能性もあります。

 在職老齢年金についてご不明な点がございましたら、お近くの年金事務所にご相談下さい。

産後パパ育休制度が始まります

 令和4年10月1日から産後パパ育休制度(出生時育児休業)が創設されます。出生時育児休業とは、子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる育児休業です。申出期限は原則休業する日の2週間前までになっています。また、2回に分割して取得できますが、2回に分割する場合は一度に2回分をまとめて申し出なければ、事業主が2回目の分は拒否することもできます。

 出生時育児休業は産後パパ育休と呼ばれますが、これは出生時育児休業の対象期間が子の出生後8週間以内とされているので、出産した人(仮にママとすれば)は通常産後休業期間中になるため、主に対象がその配偶者になるためその人を仮にパパと呼べば産後パパ育休となります。ただし、養子を養育する場合などは両親とも対象になります。

 有期契約の従業員については、申出時点で子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から8週間を経過する日の翌日から6カ月を経過する日までに労働契約期間が終わり、更新されないことが明らかな者は出生時育児休業を取得できません。

 また、以下の従業員について労使協定により除外することもできます。

①入社1年未満の従業員

②申し出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員

③1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 新しくできた制度でなじみがないので、少し分かりにくいところがあります。厚生労働省のホームページ等を参考に就業規則の変更をしてください。

子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります

 令和3年1月1日から、子の看護休暇と介護休暇が時間単位で取得できるように法律改正があります。休暇については、就業規則で記載義務のある項目なので、看護休暇と介護休暇の時間単位の取得ができるよう就業規則の変更が必要になります。また、現行の育児介護休業法では1日所定労働時間が4時間以下の労働者は、半日単位の看護休暇・介護休暇の取得が出来ないことになっていますが、令和3年1月1日以降は、すべての労働者が時間単位で取得出来るようになります。

 時間単位の考え方ですが、1日の所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は、端数を切り上げて1日分とすることになります。例えば、1日の所定労働時間が7時間30分の場合、8時間の時間単位の休暇で1日分とします。

 法令では、始業開始から連続して取得するか、終業時刻まで連続して取得する制度を表していますが、就業時間の途中から途中までの時間単位の取得ができるか(いわゆる「中抜け」)検討してもいいと思います。

 就業規則の規定例やQ&Aは厚生労働省のホームページを参考にして下さい。

雇用保険の保険料免除制度がなくなります

 今までは、雇用保険被保険者が満64歳になった年以降の4月から、事業所負担分と本人負担分ともに雇用保険料を免除されていましたが、2020年4月からは雇用保険料を免除されなくなります。そのため、実務上は今まで免除されていた高年齢被保険者の給料から雇用保険料を控除しなければいけませんので、ご注意ください。雇用保険料を給料から控除するのは、雇用保険に加入している全員となり、料率は他の雇用保険被保険者と同じ率です。

 また、労働保険の申告では、高年齢被保険者の賃金は差し引いて賃金額を計算していたのですが、2020年の概算保険料の計算においては、高年齢被保険者の賃金も含めて計算することになります。

 今までは、高年齢被保険者になっているにもかかわらず漏れていて、給料計算や労働保険の申告でミスをすることもあったかもしれませんが、今後はそのような事もなくなると思います。実務者としては手続が簡単になってよかったと思いますが、保険料負担される事業所や高齢者の人にとっては悲しいお知らせになります。

新36協定届の作成方法

 労働基準法第36条の改正により、時間外労働ができる限度時間が法律で規定されました。それにより、時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)の様式が変更し、大企業では2019年4月1日(中小企業では2020年4月1日)以降にあらたに協定を結ぶ場合は新様式で提出するようになりました。(ただし、建設業等一部適用猶予、除外の事業はあります)

 そこで、新しく変更した新様式について作成する上で注意する点を解説します。

(1)様式9号(特別条項なし)の場合

1.労働保険番号と法人番号を記入する欄ができました。

2.1年間の協定の起算日を記入するようになりました。また、1か月の起算日も1年の起算日から1か月ごとになりました。

 例)1年間の起算日 2020年4月1日の場合 

   1か月の起算日 4月1日

 給料の締切りの翌日から起算日にすれば時間外労働の管理もしやすくなります。

3.所定労働時間数、所定労働時間数を超える時間数の欄が任意で記入するようになりました。

 所定労働時間が1日8時間未満、1週40時間未満の場合、労働者にとっては残業時間は全部法定労働時間を超えた時間外労働であると思われることもあります。そのような誤解を招かないために、所定労働時間を超える時間数も記入しておいて協定しておくと、労働者に対して所定労働時間と法定労働時間の違いについて理解してもらえるのではないでしょうか。

 例)所定労働時間 1日7時間30分

   所定労働時間を超える時間数 3時間30分

   法定労働時間を超える時間数 3時間

 ただし、任意の欄なので空欄でも提出できます。

4.休日労働の欄の所定休日の記載も任意になりました。

5.「時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1か月について100時間未満、かつ2〜6か月を平均して80時間を超過しないこと」の欄にチェックボックスが追加されました。

 チェックボックスにチェックがないと協定届が有効ではなく、監督署で受理してもらえません。

6.電子申請で提出する場合、労働者代表の署名又は押印は必要ありませんが、事業所で同じ様式を協定書とする場合、事業所で保管する用紙には必ず労働者代表の署名又は記名・押印が必要です。

(1)様式9号の2(特別条項あり)の場合

1.限度時間内の時間外労働届出書(1枚目)と限度時間を超える時間外労働届出(2枚目)の提出が必要になりました。1枚目の記載方法は様式9号と同じです。

2.臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合の事由は、一時的又は突発的なものに限ります。又、具体的に定めなければいけません。臨時的な必要がある場合として以下のようなものが厚生労働省のリーフレット等に示されています。

 ・予算、決算業務

 ・ボーナス商戦に伴う業務の繁忙

 ・納期のひっ迫

 ・大規模なクレーム対応

 ・機械のトラブル対応

 ・突発的な仕様変更

3.法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数を記載するようになりました。1か月の時間外労働と休日労働の合計数が100時間未満になるよう定めないといけません。又、2〜6か月平均して月80時間を超えてもいけませんので、協定の起算日から毎月残業時間が何時間で2か月平均は何時間、3カ月平均は何時間というように、労働時間管理をしていかなければいけません。

4.1年の法定労働時間を超える時間数を720時間以内で記載するようになりました。

5.限度時間を超えて労働させる場合における「手続き」を記載するようになりました。例として「協議」「通告」「労働者代表者に対する事前申し入れ」が示されています。「手続き」は1か月ごとに限度時間を超えて労働させる事由が起きたときに必ず行わなければいけませんのでご注意ください。

通達では「手続き」の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要があるとされています。

6.限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置を、番号と具体的内容を記入しなければいけません。番号は以下の通りです。

 ①労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。

 ②労働基準法第37条第4項に規定する時刻(午後10時から午前5時)の間において労働させる回  数を1箇月について一定回数以内とすること。

 ③終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。

 ④労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。

 ⑤労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。

 ⑥年次有給休暇についてまとまつた日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。

 ⑦心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。

 ⑧労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。

 ⑨必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。

 ⑩その他

 具体的な内容の例として以下のようなものが考えられます。

 ①時間外労働が限度時間を超えた労働者全員に医師による面接指導を実施する。

 ②深夜労働の回数を1か月2回までとする。

 ③11時間の勤務間インターバルを設定する。

 ④1か月のうち所定休日出勤を3日以上した場合、所定休日以外に3日連続休暇を与える。

 ⑤対象労働者へ法定以外の健康診断を実施する。

 ⑥有給休暇を連続で3日以上取得する。

 ⑦社内又は外部に相談窓口を設置する。

 ⑧医師の診断書等により労働者の健康状態を把握し、必要に応じた配置転換を行う。

 ⑨対象労働者全員に産業医の保健指導を受けさせる。

 ⑩職場で時短対策会議を開催する。

 番号は最低1つは選択しなければなりませんので、御社の実態に即した導入しやすいものを選択してみてください。又、上記はあくまでも1つの例にすぎませんので、御社にあったもっといい方法を考えてみてください。

 それから、健康確保措置は限度時間を超えるたびに講じなければいけませんので、実際に実行できるものを定めるようにしてください。

同一労働同一賃金の概要(パートタイマー、有期雇用労働者)

 同一企業内で正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差を禁止する法律が2020年4月1日(中小企業におるパートタイム・有期雇用労働法の適用は2021年4月1日)に施行されます。

1.パートタイム労働者・有期雇用労働者の同一労働同一賃金

 事業主は、パートタイマーや期間の定めのある労働者の待遇について、通常の正規社員の待遇との間で、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、不合理な差を禁止しています。

 それでは、具体的にどのような場合が不合理でないのかは「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」に示されています。

 例えば、基本給について労働者の能力又は経験に応じて支給されるものには、以下のような場合問題とならないとされています。

(問題とならない例)

 ・A社においては、定期的に職務の内容及び勤務地の変更がある通常の労働者の総合職であるxは、管理職となるためのキャリアコースの一環として、新卒採用後の数年間、店舗等において職務の内容及び配置に変更のない短時間労働者であるyの助言を受けながらyと同様の定型的な業務に従事しているが、yに比べて基本給を高く支給している。

 その他に、賞与、各種手当についての考え方も指針に示されていますので、参考にして下さい。特に、通勤手当を正規社員には支給しているが、パートタイマーの人には一切支給していないという場合は見直す必要がありますのでご注意ください。

 通勤手当の問題とならない例は以下のように示されています。

(問題とならない例)

 ・A社において、通勤手当について、所定労働日数が多い(例えば週4日以上)通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者には、月額の定期券の金額に相当する額を支給しているが、所定労働日数が少ない(例えば週3日以下)又は出勤日数が変動する短時間・有期雇用労働者には、日額の交通費に相当する額を支給している。

 不合理でないかどうか考えていく項目として、基本給、賞与、各種手当と言った賃金だけでなく、福利厚生施設(休憩室、更衣室、食堂等)、社宅、慶弔休暇、病気休職、教育訓練など福利厚生等に関するものも含まれます。例えば、慶弔休暇に関して、パートタイマーや有期雇用労働者には何もないという状況も問題になりますので、パートタイマーや有期雇用労働者の所定労働時間に応じて付与されるなど工夫していくことが必要になってきます。

2.取組方法

 まずは、現在パートタイマー、有期雇用労働者の待遇(賃金、教育訓練、福利厚生等)がどのにようになっているか洗い出してみましょう。そして、個々の待遇が正規社員と同一かどうか確認していきましょう。待遇に差がある場合は、その理由について不合理でないと説明できるか確認していきましょう。不合理ではないと言い難いときは、待遇の改善をしていきましょう。

 上記をまとめると、以下のようになります。

 ①パートタイマー、有期雇用労働者の待遇の確認

 ②①と正規社員と待遇差の確認

 ③待遇差のあるものについて理由や基準の確認

 ④不合理な場合、同一労働同一賃金のガイドラインを参考に待遇改善

 厚生労働省ホームページに「パートタイム、有期雇用労働法対応のための取組手順書」が掲載されています。参考にしてみてください。

働き方関連法が2019年より施行されます

 働き方改革関連法が2019年より順次施行されます。その中でも2019年4月から施行されるもので主なものについて簡単に記載します。

1.労働基準法に時間外労働の上限規制が導入(中小企業は2020年4月施行)

 原則1週間40時間、1日8時間を超えて労働できる時間外労働時間の限度は、原則1月45時間かつ1年360時間となります。ただし、以下のような特例があります。

・臨時的な特別な事情がある場合として、労使協定を結ぶ場合の限度時間は1年720時間とする。

・休日労働を含み2か月ないし6か月の平均が80時間以内とする

・休日労働を含み1か月で100時間未満とする

・1か月45時間の時間外労働を上回る回数は、1年で6回までとする

上記規制は以下の業種については適用が5年後に猶予されます。

・自動車運転の業務、建設事業、医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業

また、具体的な上限時間については特例や検討事項もあり、今後変更される可能性もあります。

そして、新技術・新商品等の研究開発業務については、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、時間外労働の上限規制は適用しません。

2.年次有給休暇の年5日取得の義務化

 事業主は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、毎年5日、時季を指定して有給休暇をを与えなければいけません。ただし、労働者から時季を指定した場合や、計画的付与であらかじめ定められた有給休暇の日に取得している場合は、それらの日を除いた日数が5日に満たない場合に不足分を与えなければいけません。

 例)年休基準日 平成31年10月1日

   時季指定した日 平成31年11月1日、平成32年2月1日

   計画的付与日  平成32年8月16日、8月17日

   この場合は平成32年9月30日までに1日を労働者の意見を聞いて付与しなければいけない。

施行日(平成31年4月1日)以降に有給休暇の基準日がある場合は、施行日以降初めての基準日から新法が適用されますので、それまでの期間は従前の通り5日の付与義務はありません。

 また、有給休暇を管理する帳簿を作成しなければならなくなりますので、事務的にたいへんですが、無料でダウンロードできるソフトもあるのでうまく活用していきましょう。

3.フレックスタイム制の見直し

 フレックスタイム制の清算期間の上限が、1か月から3カ月に変わります。ただし、1か月を超える清算期間を定めるフレックスタイム制の場合は、労使協定に定めて監督署へ届出する義務が生じます。また、1か月ごとの各期間を平均して1週間当たりの労働時間は50時間を超えない範囲にしなければいけません。

4.労働時間の把握の義務化

 労働時間の把握については、管理監督者も含むすべての労働者について、客観的な方法その他適切な方法により行わなければいけません。具体的な方法については今後通達で定められるようです。

5.長時間労働の医師面接指導の変更

 現行では、1か月の時間外労働が100時間を超えている労働者からの申し出がある場合、医師による面接指導を実施しなければいけませんが、新法では100時間が80時間に変更します。1か月の時間外労働が80時間を超えるかどうか、前記4でも記載した通り、労働時間を客観的な方法等で把握して、超えるようであれば労働者に意思確認をして、できるだけ面接つなげるよう心がけてください。

 上記のものが主な改正点ですが、この改正に伴って就業規則や時間外協定の変更が必要になってくる事業所があると思います。当事務所では、法律改正に伴う就業規則の変更や時間外協定の作成を承ります。今から、長時間労働をしない職場にするためにはどうすればいいのか、この法律改正をきっかけに一緒に考えていきましょう。

 お気軽にお問い合わせください。

求人票と労働条件が違うときの明示方法

 平成30年1月1日から職業安定法の改正により、求人募集した事業所が、求人内容と実際の労働条件が違う場合、雇用契約を結ぶ前に労働条件の変更事項が分かるように明示することが義務付けられました。

1.明示すべき内容

 ①当初の明示と異なる内容になる場合

  例)当初:基本給30万円 → 基本給28万円

 ②当初の明示の範囲内で特定された内容になる場合

  例)当初:基本給25万円〜30万円 → 基本給28万円

 ③当初の明示内容を削除する場合

  例)当初:基本給25万円、営業手当3万円 → 基本給25万円

 ④当初の明示内容に新たに追加する場合

  例)当初:基本給25万円 → 基本給25万円、営業手当3万円

2.変更事項が理解できるような方法

 ①当時の明示と変更された後の内容を対照できる書面を交付

 ②労働条件通知書等において、変更された事項に下線を引いたり、着色したりする、脚注をつける

3.可能な限り速やかに変更明示しなければならない。

4.変更した理由について求職者から質問された場合は、適切に説明を行うこと。

 労働条件が募集内容と違う場合は、できるだけ早い段階で求職者に説明し、変更された労働条件での雇用契約を締結するかどうか考える時間を与えなければいけません。

 また、労働契約書は労働者を採用する前に書面を交付し、内容の説明をして下さい。お互い納得した形で仕事をした方がとてもいい関係が保たれると思います。

 労働契約書の作成についてご相談を承りますので、お気軽にお問い合わせください。

65歳以上の人も雇用保険に加入できるようになりました。

 平成29年1月1日より65歳以上の人も雇用保険に加入できるようになりました。

(ただし、雇用保険に加入できる条件に該当した場合…所定労働時間が1週間20時間以上、31日以上の雇用見込がある場合のこと)

1.平成29年1月1日以降に新しく雇用した場合

 65歳未満の人と同様に雇用した日から加入します。

 雇用した日の翌月10日までに管轄のハローワークに「取得届」を提出して下さい。

2.平成28年12月31日までに雇用していて、平成29年1月1日以降も継続的に雇用している場合

 平成29年1月1日から雇用保険に加入します。

 平成29年3月31日までに管轄のハローワークに「取得届」を提出して下さい。

3.平成28年12月31日時点で「高年齢継続被保険者」である人を、平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合

 自動的に雇用保険に加入している状態です。何も手続きはありません。

*「高年齢継続被保険者」とは…65歳に達した日の前日から65歳に達した日以後において引き続き雇用されている雇用保険被保険者のこと

 雇用保険の保険料は平成31年度まで免除になります。それまでは、給料から雇用保険料は控除しませんのでご注意ください。

マイナンバーの手続きが始まりました

2016-01-07

 平成28年1月からマイナンバーの記載が必要な手続きが始まりました。雇用保険の加入や退職、継続給付を受ける場合にマイナンバーが必要になりました。

具体的には以下のような手続きになります。

1.加入時

 雇用保険被保険者取得届にマイナンバーを記載する箇所があります。事業所がマイナンバーが本人のものか確認していればいいので、個人番号通知書等添付資料は不要です。

2.退職時

 平成28年1月以降取得の手続きをした人には、雇用保険被保険者喪失届にマイナンバーを記載する箇所があります。加入時と同じで添付資料は不要です。退職時に番号だけ記載してください。

 平成27年12月までに取得の手続きをした人については、喪失届にマイナンバーを記載する箇所がないため、喪失届と一緒に「個人番号登録・変更届出書」を提出することになります。様式はハローワークインターネットサービスのホームページからダウンロードできます。

3.継続給付

 事業主が本人に代わって高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付の申請をする場合、以下の添付資料が必要になります。

 ①平成28年1月以降に初めて雇用継続給付の代理申請を行う場合は以下のア又はイの書類

  ア.労使協定の写し

  イ.委任状

 *申請書に個人番号の提供について本人から事業主に委任する旨自署してあり、本人及び事業主の名前、住所及び押印があれば委任状を別途提出する必要はなし

  ②平成28年1月前にすでに雇用継続の代理申請を行ったことがある事業主の場合

  ・個人番号についても協定に基づき届け出る旨の確認書に記載

  ③代理人(提出者)の社員証又はその写し

  ④本人の個人番号通知書の写し、個人番号カードの写し、又は個人番号が記載された住民票記載事項証明書の写し

 上記①又は②の書類は28年1月以降初めての手続きの時に提出すればそれ以降は不要です。

 雇用保険の手続きをする上で、マイナンバーに関することが増えて煩雑になっています。申請をする前にハローワークで確認してから手続きを進めてください。

ストレスチェック制度の義務化

 平成27年12月1日からストレスチェックが義務化されました。ただし、義務化された事業所の規模は「常時50人以上従業員がいる事業所」となっています。この場合の常時50人という定義は何なのでしょうか。

 「常時○人以上」という言い方は安全衛生法でよく出てきます。その考え方としては、正社員だけでなく、パート、アルバイト、日雇い、派遣労働者も含めて常態として何人働いているかということです。実務上では、労働保険の申告書の時に記載する労働者数(1年間総労働者数÷12)で判断することがあります。平均して50人以上働いている場合は「常時50人以上」と考えます。

 また、常時50人以上は事業所単位であり、会社全体の規模ではないことにご注意ください。例えば、本社と営業所の2か所事業所があり、本社40人、営業所15人の場合はストレスチェック制度は義務ではなく、努力義務になります。努力義務とは必ずしなければならないものではなく、できればしてほしい義務なので法律違反にはなりません。ただし、今後努力義務が義務になる場合がありますので、今から少しずつ準備をしておいたほうがいいでしょう。

 それから、ストレスチェックの対象労働者は、一般の健康診断の対象者と同じです。要するに以下の2点を満たす者になります。

①期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めがある労働契約により使用されるものであって、契約期間が1年以上の者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む)

②1週間の所定労働時間が、正社員の1週間の所定労働時間の4分の3以上であること

 それでは、事業主や役員など労働者でない者はストレスチェックを受けなくてもいいでしょうか。

答えはイエスです。法律上は義務はありませんが、事業主をはじめ役員等管理者も多くストレスを抱えていることがあると思いますので、ご自身の健康を守るためにも労働者と一緒に受けられてはいかがでしょうか。

 また、所定労働時間が短いパートにも義務はありませんが、パートさんの健康管理のためにもストレスチェックが受けられる体制があった方がいいと思います。

 当事務所はストレスチェックについてご相談を受け付けていますので、お問い合わせ下さい。 

マイナンバーの取得

 平成28年1月から社会保障、税、災害対策の手続きでマイナンバーが必要になります。事業者としても、従業員の税金の手続きや社会保険の加入手続きなどで従業員からマイナンバーを取得しなければいけません。具体的な手続きとしては、以下のようなものがあります。

 1.扶養親族の申告書や源泉徴収票、法定調書など所得税、住民税に係る手続き

 2.雇用保険の加入、脱退、給付等に係る手続き

 3.健康保険、厚生年金の加入、脱退、月額変更、賞与、給付等に係る手続き

   4.労災保険の給付に係る手続き

 マイナンバーを取得するときは利用目的を特定して明示しなければいけません。また、社会保障、税、災害対策以外の目的で取得してはいけません。ただし、マイナンバーを必要とする度に利用目的を明示するのは大変なので、複数の目的をまとめて明示しても構いません。例えば、入社時の説明会でマイナンバーを取得する目的が複数記載された文章を配布して、従業員に理解してもらうなどが考えられるでしょう。

 ○利用目的が記載された文章が必要な事業所は当事務所にお気軽にご相談下さい。

 そして、マイナンバーを取得する際には、厳格な本人確認が必要です。マイナンバー通知書だけでなく、顔写真のついている公的な証明書(運転免許証、パスボート、障害者手帳、在留カードなど)も一緒に確認し、本人であることを確認してください。もし顔写真付き証明書がない場合は、以下の書類から2点以上提出してもらわなくなていけません。

 1.国民健康保険証、健康保険証、介護保険被保険者証等公的医療保険の保険者証

 2.国民年金手帳、児童扶養手当又は特別児童扶養該当者証書 等

 *既に在籍している従業員については、以前に本人確認の書類を提出してもらっている場合は省略できます。

 そもそも、マイナンバーを取得すべき人とはどんな人なのでしょうか。

給与、報酬を支払う全ての人の分が必要です。パートやアルバイトも1日でも給料を支払えば取得しなければいけません。また、税理士や社労士など士業に報酬を支払えば、その人も対象になります。 また、従業員の扶養家族になっている人の分も必要です。平成28年には所得税の扶養家族になっている人のマイナンバーも取得しなければいけませんし、平成29年には所得税の扶養家族ではないが、健康保険の扶養家族になっている20歳以上60歳未満の配偶者の分も取得しなければいけません。

 非常にたくさんのマイナンバーを取得しなければいけないので、本人確認も大変です。ただし、扶養家族の本人確認が必要なのは、国民年金の第3号被保険者だけとなっています。(健康保険の扶養家族で20歳以上60歳未満の配偶者の人)扶養家族全員ではなくてよかったです。

 もし、従業員がマイナンバーを教えてくれなかったらどうしたらいいのでしょうか。

事業所としては従業員に、書類にマイナンバーを記載することが義務であることを説明し、理解してもらうようにしてください。それでも教えてくれない場合は、マイナンバーを教えてもらうよう督促した経緯を記録しておき、事業所が取得するよう努力したことが分かるようにしてください。そのうえで、マイナンバー記載欄は空欄で官庁等に提出してください。官庁等がマイナンバーの記載がないことによって受付しないということはありません。

専門的知識等を有する有期雇用労働者等の特別措置法

 平成25年4月1日以降、同一の使用者との有期雇用契約が繰り返し更新されている場合、その契約期間が5年を超えた場合はその労働者の申込により、無期労働契約に転換できるようになります。(これは、労働契約法第18条に規定されています。)

 上記の法律に特例を設けたのが「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」になります。5年を超える有期雇用契約を繰り返していても無期雇用に転換しなくてもいい人がいるということです。ただ、この特例を受けるためには以下の条件をクリアしなければいけません。

 1.特例の対象者は以下のどちらかであること。

  ①5年を超える一定期間内に完了することが予定されている業務に就く、高度専門的知識を有する有期雇用労働者

   「高度専門的知識を有する」とは、以下のような職種です。

   ・博士の学位

   ・公認会計士、弁護士、一級建築士、税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士

   ・医師、歯科医師、獣医師、薬剤師

   ・ITストラテジスト又はシステムアナリスト資格試験に合格している者

   ・アクチュアリーの資格試験に合格している者

   ・システムエンジニア、システムコンサルタント

   ・デザイナー

   ・特許発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者

   ・農林水産・鉱工業・機械・電気・土木・建築の技術者

   さらに、要件として1年間の賃金の額が1075万円以上であることも必要です。

  ②定年後、有期雇用契約で継続雇用される者

 2.対象労働者に応じた適切な雇用管理に関する事項を定めて計画書を提出し、厚生労働大臣の認定を受けること。

  「適切な雇用管理に関する事項」とは以下のようなことです。

  ①専門的知識を有する者の場合

   ・教育訓練を受けるための有給休暇又は長期休暇の付与(労基法の年休を除く)

   ・始業及び終業時刻の変更

   ・勤務時間の短縮

   ・受講料の援助

   ・教育訓練の実施

   ・職業能力検定の実施

   ・業務の遂行に必要な技能及び知識の内容等に関する情報の提供、相談の機会の確保その他の援助

  ②定年後の継続雇用者の場合

   ・高年齢者雇用推進者の選任

   ・職業訓練の実施

   ・作業施設、方法の改善

   ・健康管理、安全衛生の配慮

   ・職域の拡大

   ・職業能力を評価する仕組み、資格制度、専門職制度の整備

   ・職務等の要素を重視する賃金制度の整備

   ・勤務時間制度の弾力化

特例の効果は、以下の期間に無期転換申し込み権が発生しないことです。

 ①専門的知識を有する者の場合

  一定の期間内に完了することが予定されている期間(上限10年

 ②定年後の継続雇用者の場合

  定年後引き続き雇用されている期間

この法律が適用されるのは平成27年4月1日です。

 実務上多いのは定年後の継続雇用者ですが、定年後継続雇用される人が5年後に無期転換雇用にならないようにするには、雇用管理に関する計画を立てて厚生労働省に認定を受けるようにするのも一つの方法でしょう。人手不足が問題になっている事業所では、高齢者を上手く活用していくためにも、雇用に関する計画を立ててみてはいかがでしょうか。

パートタイム労働法の改正

 パートタイム労働法が平成27年4月1日から以下の通り改正されます。

1.雇入れの際、労働条件を文書で明示する内容に「相談窓口」が追加します。

 相談窓口はだれがしてもいいですが、雇用管理に関する質問に対応するため、労働法の知識がある人がいいでしょう。具体的には、事業主や事業主の配偶者、又は総務担当者が適任です。記載内容としては、相談窓口の担当者の氏名、役職、部署などです。

2.パート労働者を採用した時に雇用管理に関することについて説明しなければいけません。

 今まではパート労働者に質問された場合に説明しなければいけなかったのですが、平成27年4月1日以降は採用した時に文書を配布して内容について説明しなければならなくなりました。

 例)賃金はどのような仕組みなのか

   どのような研修があるのか

   ロッカーや休憩室は利用できるのか

   正社員になるにはどのような制度があるのか

 労働条件通知書や労働契約書を作成し直して、口頭で内容について丁寧な説明が必要になります。

3.正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の範囲が変わります。

 現在の範囲は・・・(1)職務の内容が同じ

            (2)人材活用の仕組み(異動の範囲や昇進の範囲)が同じ

            (3)無期労働契約である

 改正後は・・・・・(1)職務の内容が同じ

            (2)人材活用の仕組み(異動の範囲や昇進の範囲)が同じ

 期間の定めが有る労働契約であっても、仕事の内容や責任が同じ、昇進や異動の範囲も同じ場合は正社員と差別的取扱いをしてはいけないことになります。給料や賞与、退職金など賃金に関することや、研修などの教育に関すること、慶弔休暇や社宅の貸与など福利厚生に関することについて正社員と同じようにしなければならなくなりますので、ご注意ください。

4.パート労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して不合理であってはいけません。

 仕事の内容は同じだけど、責任は違うというパート労働者の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。また、昇進の範囲では、パート労働者は管理職にはならないが正社員はどこまでも昇進する可能性はあるという方が多いでしょう。

 このように職務の内容や人材活用の仕組みが違う場合でも、正社員と待遇を相違させる場合に不合理であってはならないという規定が新設されます。何が不合理であるのか具体例は公表されていませんが、同じ仕事をしているのにあまりにも賃金に格差がありすぎると不合理であると判断されるのではないでしょうか。

 パート労働者と正社員の仕事の内容の違いや責任の違い、昇進や異動の違いなどを明確にしていくツールとして、厚生労働省に「パート労働者ポータルサイト」の「職務分析実施マニュアル」があります。また、正社員とパートの仕事の内容を比較できるツールとして「職務評価ツール」というものが公表されています。このツールを使用すれば、パート労働者の仕事の範囲や責任の範囲がはっきりし、正社員の仕事とどの程度違うのか説明しやすくなります。そして、賃金や待遇に関して不合理であるかどうか判断もできます。パート労働者からの質問にも答えやすくなるばかりではなく、パート労働者や正社員の教育にも役立つものになります。無料のツールですから、お気軽にご利用ください。

5.距離や実際にかかった費用に関係なく支給されている通勤手当は、正社員との均衡を図るよう努力義務になります。

 距離に関係ない通勤手当は、仕事に対して支給されているものとみなされるので、パート労働者に対してもできるだけ支給するようお願いする義務になります。このような通勤手当は、残業代の計算の基礎にも含まれるので、当事務所では距離等で金額が変わるような手当に変更するよう指導しています。貴事業所でもこのような通勤手当であるなら、早急に改正した方がいいでしょう。

6.説明を求めたことによる不利益取り扱いの禁止

7.親族の葬儀などで勤務しなかったことを理由とする解雇は不適

以上が実務上関係しそうな変更点です。平成27年4月1日までにもう一度労働契約書等の訂正や賃金、通勤手当の見直しをしてみたらどうでしょうか。

当事務所では、パート労働者の就業規則、労働契約書の相談、作成を受け付けています。お気軽にご相談ください。

妻が死亡したときに夫にも遺族基礎年金が支給されます

 遺族基礎年金について以下の通り平成26年4月1日から改正されました。

旧)国民年金に加入していた夫が死亡した場合、子(18歳到達時以降3月までの子、又は障害のある20歳未満の子)のある妻又は子に支給する。

新)国民年金に加入していた配偶者がなくなった場合、子のある妻又は夫、又は子に支給する。

 今までは国民年金に加入している妻が亡くなっても、夫には遺族基礎年金が支給されませんでしたが、今後は子供(18歳到達時以降3月までの子、又は障害のある20歳未満の子)がいる夫には支給されるようになりましたので、「年金の掛け捨て」という感覚もなくなり、男女間の差も解消されすっきりしました。

 また、第3号被保険者が死亡した場合も対象になりますので、夫としては安心できる年金改定になりました。

 平成26年4月1日以降の死亡から適用されます。

育児休業給付金の支給率が変更しました

 平成26年4月1日以降に育児休業を開始する場合、育児休業を開始してから180日目までは、休業開始前の賃金の67%が支給されます。(今までは50%)

181日目以降は、休業開始前の賃金の50%が支給されます。(いままでと同じ)

*平成26年3月31日までに育児休業を開始した場合は、育児休業の全期間、休業開始前の賃金の50%の支給率のままです。

 支給の対象期間中に賃金の支払いがある場合、休業開始時の賃金日額に支給日数をかけた額に対して、13%を超えると支給額が減額されます。(今までは30%超)また、80%以上のときは、給付金が支給されませんのでご注意ください。

[育児休業給付金の支給算出の事例]

賃金月額21万円の場合(日額7000円)で180日以内

 ①支給対象期間中に賃金が支払われていない場合

 支給額・・・7000円×30日×67%=140700円

 ②支給対象期間中に賃金が40000円支払われた場合

 支給額・・・7000円×30日×80%−40000円=128000円

 ③支給対象期間中に賃金が170000円支払われた場合

 7000円×30日×80%=168000円<170000円 支給なし

一般拠出金率が改正されます

 平成26年4月1日から、労災保険の保険料の計算に関係する「一般拠出金」の率が改正されます。

   旧率 0.05/1000    新率 0.02/1000

 平成26年度の年度更新をする場合、平成25年度の賃金総額に対して0.02/1000を乗じた額で算定しますので、ご注意ください。6月ごろに届く労働保険の申告書に印字されていますので、ご確認ください。

特別加入の申請書等の様式が変わります

労災保険の申請書が厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

その中で、労災保険の特別加入の申請書も新しい様式に変更しています。この様式は平成25年11月30日から受け付けしていますので、今後特別加入に関する書類を提出する際は、この新しい様式で提出するようにしてください。

新しい様式の変更点は以下の通りです。

1.いつでもインターネットから書類を入手することができます。

2.「労働者の所定の始業及び終業の時刻」など、記入項目が分かりやすくなりました。

3.提出枚数が複写ではなく、1枚になりました。

4.海外派遣者の申請書、変更届の「派遣予定期間」の欄がなくなりましたので、派遣期間に変更があっても変更届の提出が不要になりました。

事業主にとって使いやすく変更されたと思いますので、今後は新様式をご利用ください。

ただし、ダウンロードした様式は拡大したり縮小したりして印刷してはいけませんので、ご注意ください。また、ダウンロードした様式をコピーしたものも使用できませんので、ご注意ください。

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