事業主のための就業規則 退職編

労働者が退職するのはどんなときか、就業規則で明白にしておかないと、これがトラブルの原因になることがあります。労働者本人の方から退職願いを提出した場合や死亡してしまった場合においては、退職に対して異議をとなえる者はいませんが、例えば、無断欠勤が続いて本人と連絡がとれない場合はどうすればいいのでしょうか。事業主としては、本人が出勤してこないので退職したものとみなして、退職の手続きをしてしまった後に、本人が急に出勤してきて、「退職する意思はない。これは解雇だ。」と言われるケースがあります。このようなケースにも対応できるように、あらかじめ就業規則の中で、「無断欠勤が継続して2週間をすぎれば退職とする。」というような規定を作成しておき、入社時や研修時などに説明しておく必要があります。
また、最近特に多いのが、病気休業により休職期間が満了してしまった場合、どのようにすればいいかが問題になります。よくある就業規則では、「休職期間が満了して復職できない場合は解雇とする」となっていますが、事業主さまのためには、「休職期間が満了して復職できない場合は自然退職とする」としたほうがいいです。なぜなら、もともと休職期間というのは仕事ができない状態なので、しっかり休業してもらって、もとの状態になって早く復帰してほしい、という気持ちをこめた猶予期間です。法律的に与えなければならない期間ではないですし、休業中の社会保険料の負担もあり、零細企業にとってはとても負担が大きい期間です。そのようなことからも、助成金の申請ができなくなってしまう「解雇」規定にするのではなく、「自然退職」規定にする方がいいでしょう。
それから、退職に関する手続きについても、就業規則で定めておくようにしましょう。「今日で退職します」と言っていきなり辞めてしまう人もいますが、これは事業主にとっては大変困った話です。せめて1カ月ぐらい前には退職願いを提出してもらって、業務の引き継ぎをしてもらいたいと思うのが本心でしょう。また、会社の備品や機密事項を持ち出さないように必ず返還してもらう規定も盛り込むべきではないでしょうか。