事業主のための就業規則 定年編
平成25年4月より高年齢雇用安定法が改正され、60歳の定年を定めている事業所が労使協定で定める基準に達した者のみ継続雇用出来るという制度が廃止されました。ただし、厚生年金の支給開始年齢に達した者については、それ以降は労使協定で定めた基準を引き続き利用できる特例措置が設けられました。

この厚生年金の支給開始年齢というのは、厚生年金を1年以上加入していた人が65歳になる前に報酬によって支給される年齢のことで、男性の場合、昭和28年4月2日から昭和30年4月1日生まれの人は61歳となります。(その後生年月日により年齢が変更する)女性の場合は、同じ昭和28年4月2日生まれでも厚生年金の報酬比例部分は60歳時に支給されますが、性別によって定年の取り扱いを変えるのは法律違反になりますので、女性においても定年後の継続雇用制度は同様の規定になります。
この法律改正に伴って、就業規則の定年の規定を変更しなければならない事業所があります。それは、「定年は満60歳とする。ただし、労使協定で定めた基準に達した者については65歳まで継続雇用する。」というような規定になっている事業所です。就業規則の変更をせずに、60歳に到達した者が労使協定で定めた基準に達しないために退職とした場合、法律違反になってしまい、労働者とトラブルになる可能性がありますので、早急に変更して頂きたいと思います。
ただ、この法律改正は65歳まで雇用することを義務化したものではないため、支給開始年齢に達した後の労働条件の変更は認められますし、労働条件に合意できない場合は退職となることに問題はありません。また、1年ごとの期間の定めのある契約とし、更新条件を個別の労働契約書で定め、契約期間満了時に更新条件が満たされない場合は退職してもらうことも可能です。このような運用をするためにも、就業規則の変更をお勧めします。