事業主のための就業規則 パワハラ、セクハラ編
最近、労働相談で増加しているのが「上司にいじめられた、嫌がらせを受けた」などパワハラに関するものです。そして、その相談の延長線上にあるのが裁判で訴えるということです。万が一、裁判で労働者から訴えられた場合、事業所としては大変大きな損害を被ります。多額の損害賠償を請求されるだけでなく、事業所の信用や名誉が傷つけられ、事業が上手くいかなくなる可能性があります。
これは、セクハラに関しても全く同じことが言えます。セクハラによる裁判もパワハラと同様、事業所に大きな打撃を与えます。
それでは、パワハラ、セクハラをしないような職場にするために、事業所は何をすればいいのでしょうか。それは、「従業員教育」です。パワハラやセクハラは絶対してはいけないものであるということを全従業員に対して啓発していき、認識させることです。
従業員にパワハラ、セクハラに対する事業所としての考え方を周知する方法として、就業規則の服務規程の中にパワハラ、セクハラ禁止事項を盛り込むことです。パワハラとはどんなことなのか、セクハラとはどんなことなのか具体的な行動等を示して、就業規則の禁止事項にします。そして、禁止事項を行ってしまった従業員に対しては、厳しく処罰する規定にしておくことです。
そして、必ず就業規則の内容について説明会を開き、説明するようにして下さい。
また、従業員に対して「パワハラ、セクハラ研修」を行うようにして下さい。どんなことがパワハラになるのか、どんなことがセクハラになるのか、具体例を説明するだけでも、抑止力になると思います。
当事務所では、「パワハラ研修」や「セクハラ研修」を行っています。お気軽にお問い合わせ下さい。
パワハラ、セクハラ防止規定は以下の通りです。
第〇条 全ての従業員は勤務にあたり、パワハラ、セクハラまたはパワハラ、セクハラと疑われる行為をおこなってはならない。
2 所属長(以下、監督者という。)はパワハラ、セクハラまたはパワハラ、セクハラと疑われる事実を認めながら、これを放置してはならない。
3 職場においてパワハラ、セクハラまたはパワハラ、セクハラと疑われる行為を現認した従業員は、速やかに監督者または相談窓口等に同内容を報告するよう努めなければならない。
4 パワハラ、セクハラに該当する行為を行った従業員は、第〇条に定める懲戒処分の対象となる。
第〇条 以下のようなパワハラ行為、または以下の行為と類似の行為を行ってはいけない。
(1) 優位的な立場の従業員が、優越感を持った言動をおこない、下位の立場にある従業員の感情を害すること。
(2) 体調を壊すまで、あるいは体調を悪くするほどに長時間労働や休日出勤の指示命令をおこなうこと
(3) 職場でむやみやたらに部下を怒鳴り、あるいは叱ること。
(4) 部下に雇用不安を抱かせるような言動をし、部下を意のままに操ろうとすること、あるいは精神的なストレスを与えること。
(5) 優位的立場を利用して不正行為や違法行為に部下を加担させること。
(6) 自身の感情を抑制せず、職場の雰囲気を悪くすること。
(7) 人格を否定するような言動および、欠点を粗探しすること。
(8) 人格を傷つける発言を行うこと、他の従業員の前で一方的に恫喝(どうかつ)すること。
以下省略
第〇条 以下のようなセクハラ行為、または以下の行為と類似の行為を行ってはいけない。
(1)性的及び身体上の事柄に関する不必要な質問や発言をすること。
(2)わいせつな画像の閲覧、配布、掲示を行うこと。
(3)性的な噂を流すこと。
(4)不必要に身体に接触すること。
(5)性的な言動により、他の従業員の就業意欲を低下せしめ、能力の発揮を阻害すること。
(6)交際・性的関係を強要すること。
(7)性的な言動への抗議又は拒否等を行った従業員に対して、解雇、不当な人事考課、配置転換等不利益を与えること。
(8)その他、相手方及び他の従業員に不快感を与えるような、性的な言動を行うこと。