復職可否の判断基準
メンタル不調で休職していた労働者から復職できるという意思表示があった場合、事業所としてどのように対応していくか決まったルールはありますか。就業規則や社内規定がある事業所であれば現在の規定がどのようになっているか確認してください。簡単な規定しかないので詳細は決まっていないとか、そもそもそんなルールはないという事業所様でしたら、以下の復職可否の判断基準を参考に今後考えてみてはどうでしょうか。
1.本人に復職できるという意思表示があること
単に病状が回復して通常の生活ができるようになったから仕事がしたいという気持ちだけでなく、今まで行っていた業務を通常の時間、継続して行うことができるという意思表示があることです。面談時に「休職期間が終わってしまうから」などと発言されるようでは、時期尚早ではないでしょうか。
2.面談または文書で具体的な「できること」を確認すること
以下のようなことを具体的に確認してみてください。
・普段の生活リズム
・現在の症状、通院状況、服薬状況
・業務関連の準備、集中力、遂行能力
決まった時間に起床し、規則正しく生活ができている、通勤時間帯に一人で安全に通勤できる、会社関係の人と誰でも話ができる、業務関連の本を集中して読むことができる、など事業所として業務遂行レベルに達しているかどうかの判断基準を決めてください。
判断基準を決めるのは事業主や事業所です。主治医の意見に翻弄されないようしっかりとした基準を定めてください。事業所規模や職種によりますが、短時間勤務や異動ができるのか、試し出勤制度等を取り入れるのか、上司や周りの支援がどこまでならできるのか(どのぐらいの期間、どれぐらいの業務)、よく事業所内で話し合って決定して下さい。
3.主治医が通常勤務をした場合に、症状が増悪せず就業できると証明すること

復職判定をする上で、必ず医学的に問題がないと証明されていなければ復職はできないとして下さい。主治医が業務内容を正確に把握することは難しいですが、前もって文書で以前の業務内容(運転操作あり、機械操作あり、パソコン入力ありなど)を説明することによって、少しは想像しやすくなるのではないでしょうか。また、事業所の復帰基準も文書で配布し、主治医の意見書として就業制限が必要なのかどうか、復職して症状が増悪しないかどうかなどチェックして回答できるような様式で配布すれば、主治医も答えやすくなるし、負担も少なくなるのではないでしょうか。
4.職場が復帰できる環境であること
休業していた労働者が復帰してくる上で気を付けるべきことは何か、事前に主治医の意見を確認しているので、その「配慮」が職場でできる範囲であるのかどうか検討して下さい。「単純作業のみ可」、「1日4時間勤務から就労可」など条件つきの復職の場合、それが職場で対応できるのか現場の上司、同僚等一緒に働く労働者と話し合ってください。同じ職場で働く他の労働者に過度の負担を強いるような復帰はやめた方がいいと思います。
以上のような事を確認した上で復職可否の判断を行ってください。判断をするのはあくまでも事業主ですが、事業主、人事労務担当者、直属の上司、安全衛生管理者、産業医等を構成員とする「復帰判断会議」等で協議した上で決定して下さい。
当事務所では、復職する前から復職して就業出来るまでの対応や書式についてご相談に応じます。お気軽にお問い合わせください。