有給休暇を計画的に与えましょう
年次有給休暇は、労働者を雇入れた日から6か月経過後から権利が発生します。正社員で10日、パートで、所定労働日数にもよりますが、1日から10日の間で取得できる権利があります。事業所の規模にもよりますが、一度に労働者が有給休暇を取得して業務に支障をきたしてしまうこともあります。そのようなことを避けるためにも、有給休暇を計画的に与えるようにしてはどうでしょうか。
この制度は労働者にとってもメリットがあります。労働者の意見としては、前もって計画的に決められているので予定が立てやすい、気兼ねなく有給休暇が取れる等です。
また、事業主にとってもメリットはあります。有給休暇を計画的に取得してもらうことで、心身共に健康を維持できるし、仕事に対する集中力もでき、生産性を向上することにつながると思われます。
それでは、年次有給休暇を計画的に与えるにはどうすればいいでしょうか。
1.年次有給休暇の日数のうち、5日を超える部分について与えることができる。
例えば、年次有給休暇の日数が10日ある人に対しては5日、20日ある人に対しては15日まで計画的に与えることができます。
尚、前年に取得されず繰り越された日数がある場合は、その繰り越された日数も含めて5日を超える部分を計画的に付与することができます。
例)前年10日、今年12日年次有給休暇が取得できる場合 22日−5日=17日が対象になる
2.労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者との労使協定を結ぶ。
計画的付与は事業所の実情にあわせて以下のような方法で活用できます。
①企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方式
企業、事業場を一斉に休みにして同一の日に有給休暇を与える方法です。製造業などで多く見られる方法で、お盆、年末年始、ゴールデンウィークなどの祝日の合間を有給休暇とすることで連続休暇にもできます。
②班、グループ別の交替制による付与方式
企業、事業場で一斉に休みを取ることが難しい流通、サービス業などでは、班、グループ別に交替で有給休暇を付与する方法です。

③計画表による個人別付与方式
企業、事業場で一斉に休みを取ることが難しい流通、サービス業などでは、上記②以外に個人別に交替で有給休暇を付与する方法です。誕生日や記念日、子供の行事などを優先的に取得できるようにするケースもあります。
3.労使協定には次のような事項を定めて、有給休暇の取得日より前に締結する。
①事業場全体の一斉付与の場合、具体的な有給付与日を協定する。
②班別、グループ別による交替付与の場合、班別、グループ別に具体的な有給付与日を協定する。
③計画表による個人別付与の場合、計画表を作成する時期、手続き等について協定し、具体的な有給付与日はその計画表で決まるようにする。