専門的知識等を有する有期雇用労働者等の特別措置法
平成25年4月1日以降、同一の使用者との有期雇用契約が繰り返し更新されている場合、その契約期間が5年を超えた場合はその労働者の申込により、無期労働契約に転換できるようになります。(これは、労働契約法第18条に規定されています。)
上記の法律に特例を設けたのが「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」になります。5年を超える有期雇用契約を繰り返していても無期雇用に転換しなくてもいい人がいるということです。ただ、この特例を受けるためには以下の条件をクリアしなければいけません。
1.特例の対象者は以下のどちらかであること。
①5年を超える一定期間内に完了することが予定されている業務に就く、高度専門的知識を有する有期雇用労働者
「高度専門的知識を有する」とは、以下のような職種です。
・博士の学位
・公認会計士、弁護士、一級建築士、税理士、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士
・医師、歯科医師、獣医師、薬剤師
・ITストラテジスト又はシステムアナリスト資格試験に合格している者
・アクチュアリーの資格試験に合格している者
・システムエンジニア、システムコンサルタント
・デザイナー
・特許発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
・農林水産・鉱工業・機械・電気・土木・建築の技術者
さらに、要件として1年間の賃金の額が1075万円以上であることも必要です。
②定年後、有期雇用契約で継続雇用される者
2.対象労働者に応じた適切な雇用管理に関する事項を定めて計画書を提出し、厚生労働大臣の認定を受けること。
「適切な雇用管理に関する事項」とは以下のようなことです。
①専門的知識を有する者の場合
・教育訓練を受けるための有給休暇又は長期休暇の付与(労基法の年休を除く)
・始業及び終業時刻の変更
・勤務時間の短縮
・受講料の援助
・教育訓練の実施
・職業能力検定の実施
・業務の遂行に必要な技能及び知識の内容等に関する情報の提供、相談の機会の確保その他の援助
②定年後の継続雇用者の場合
・高年齢者雇用推進者の選任
・職業訓練の実施
・作業施設、方法の改善
・健康管理、安全衛生の配慮
・職域の拡大
・職業能力を評価する仕組み、資格制度、専門職制度の整備
・職務等の要素を重視する賃金制度の整備
・勤務時間制度の弾力化
特例の効果は、以下の期間に無期転換申し込み権が発生しないことです。
①専門的知識を有する者の場合
一定の期間内に完了することが予定されている期間(上限10年)
②定年後の継続雇用者の場合
定年後引き続き雇用されている期間
この法律が適用されるのは平成27年4月1日です。
実務上多いのは定年後の継続雇用者ですが、定年後継続雇用される人が5年後に無期転換雇用にならないようにするには、雇用管理に関する計画を立てて厚生労働省に認定を受けるようにするのも一つの方法でしょう。人手不足が問題になっている事業所では、高齢者を上手く活用していくためにも、雇用に関する計画を立ててみてはいかがでしょうか。