休職期間というのは、事業所が労働者に与えなければならない期間ではないので、就業規則で定めなくてもかまいません。いまから初めて就業規則を作成する事業所で、今まで休職をした労働者がいない事業所なら、休職期間がない就業規則を作成することをお勧めします。
就業規則を初めて作成する10人未満の事業所のような場合、休職期間中の社会保険料の事業主負担分だけでも大変な額になってきます。事業所の資金状況にもより、休職規定を定めない方がいいと判断した場合は、当事務所では休職期間を設けない就業規則を作成するようにしています。
ただ、もうすでに休職期間の定めのある就業規則がある場合や、今までに休職したことがある場合は、そういう訳にはいきません。今ある就業規則や社内ルールの内容をよく吟味して、今後休職者が出てしまったときに、しっかり対応できる就業規則や社内ルールにすることをお勧めします。
休職規定を以下のようなポイントに注意して見直していきましょう。
1.連続した欠勤でなくても欠勤が何日以上になると休職する制度にする。
2.休職期間は1か月単位では端数の問題が出てくるので、通算何日以内というようにする。
3.復職してから数カ月でまた休職してしまうケースに対応して、休職期間が通算できる仕組みにする。
4.復職判断は会社が指定医の意見をもとに行うようにする。
5.元通りの職務が出来ない場合に、労働時間や給与面で労働条件を変更できるようにする。
6.休職期間満了の場合は、解雇ではなく自然退職としておく。
休職規定の条文は以下の通りです。
(休職事由)
会社は、従業員が以下の各号に該当する場合は、従業員の申し出または会社の指示により休職を命ずる。
①勤続1年以上の従業員が業務外の傷病によって欠勤が3カ月以内に通算30労働日以上になったとき
②刑事事件で起訴されたとき
③業務命令により他事業に出向したとき
④前各号のほか会社が必要と認めたとき
2.前項①号については、会社が指定する医療機関で診断することを命ずることがある。
(休職期間)
休職期間は次のとおりとする。
①前条第1項①の場合 勤続1年以上3年未満の者 〇日以内
勤続3年以上の者 ○○日以内
②前条第1項②の場合 判決が確定するまでの期間
③前条第1項③の場合 出向する期間
④前条第1項④の場合 会社が必要と認めた期間
2.復職後、6カ月以内に同一または類似の傷病により再び欠勤するに至った場合、従前の休職期間と通算する。
3.休職期間中の賃金は支給しない。
4.休職期間は勤続年数に算入しない。ただし、前条第1項③の休職は勤続年数に算入する。
5.傷病による休職者は、休職期間中は療養に専念しなければならない。
6.会社は一定期間ごとに休職者から報告を求めることができる。
(復職)
傷病による休職者が復職する場合、医師による復職可の診断書を添付して、復職の申し出を行わなければならない。
2.会社は、原則として休職者を会社の指定する医師へ受診させ、この診断をもとに復帰の当否を決定する。この場合、従業員は正当な理由なく、この受診を拒否することはできない。
3.休職の事由が消滅したときは、原則として休職前の職務に復帰させる。ただし、業務の都合もしくは当該従業員の状況に応じて、異なる職務、異なる職場に配置することがある。この場合、本人との協議のうえ、労働条件の変更を伴う可能性がある。
4.復職前に本人との協議のうえ、一定期間、通勤訓練を行うことがある。この場合は通勤手当のみ支給する。
5.復職後に一定期間、リハビリ勤務を行うことがある。この場合は、本人との協議のうえ、労働時間や賃金等労働条件を変更することがある。
(休職期間満了時の手続き)
休職期間満了時までに休職事由が消滅しない場合は、休職期間満了をもって自然退職とする。